できごと

『さよなら未来』トークイベントレポート

2018/08/29

元『WIRED』編集長・若林恵さんと文筆家・木村衣有子さんをお迎えした「さよなら未来」トークイベント無事終了しました!

若林さんの江戸っ子を思わせる、やんちゃなんだけどかわいらしくもある語り口に魅了されましたし、10年来の友人としてそこに小声で、そして少々辛辣に絡んでいく木村さんとのやりとりもとてもよかったです。

議論を振り返ると、雑貨化とは、機能あるいは歴史的な文脈を剥奪されたものは、すべて雑貨となる現象を言う。
すべてが雑貨になることを回避する方法を模索するなかで、「使う」という動詞を引き受けない道具とは何か?という問いから探ろうとする。
それは「楽器」である。
楽器は「奏でる」ものだから。
すべてのものを奏でると捉えるとき、雑貨にあらためて「もの性」が復活するのではないか、という議論。
琴線にふれるとぼくらが思うとき、ぼくら自身が楽器になり、目の前にあるものによって、奏でられた、とは考えられないだろうか。
それはまさにぼくらが奏でられる主体(楽器)になれたことを意味する。

文脈を喪失し雑貨化(機能あるいは歴史的な文脈を剥奪された)したものは、デザインという現代的な手法にて再び文脈を獲得する。コラボレーションという名のもとに。そして少なからぬ老舗企業が「「変わらないために変わり続ける」という理念を掲げる。

若林さんが編集に携わっていた『太陽』は権威性を重んじる雑誌だったため、コーヒーがその特集になることはなかった。世の中が権威性から距離を置いたとき、『太陽』が休刊し、あらゆるものの民主化が進んだ。その民主化がものの、雑貨化とファッション化を推し進めることになる。

若林さんが学生のときにはとりあえず「ドゥルーズとか、ゴダールっていいよねぇー」と言っとけばいい時代であり、『ぴあ』を見ながら分厚いコンテンツ消費をし、それを語りあい、またそれがリクルートに結びつく時代だったと言う。トレンドがよき権威として機能し、ひとつの道しるべになっていた。

民主化の末路として非トレンドという(権威なき)トレンドの時代が訪れたとき、多くの人たちはかつてのような(記号的な消費情報交換のための)分厚いコンテンツ消費などしない。ものや体験を瞬時に雑貨化し拡散するツールであるInstagram投稿によって、対外的な評価を高める合理的な行動を選好する。
それを踏まえて考えることは、行きすぎた民主化に歯止めをかけるべく(あえて)仮説的にでも権威性を再設定し、そこにロープをくくりつけて、這い上がるトレーニングが必要であろう。かつてあった分厚いコンテンツ消費などの一見無意味に思えることに没入する体験の必要性を感じずにはいられない。

ひとつ言えることは、ドゥルーズがわからなければ、ドゥルーズがバカなのではなく、間違いなく自分がバカであるという権威性と正当性を理解すること。方程式の右辺に正しきものを置き、その方程式が正しくなるように左辺としての自分を変革する。この正しき(と思われる)ものを「師」と呼びたい。

Photo.Toru Takahashi

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